【司法書士が解説】成年後見人の申立てに必要な診断書とその内容
成年後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立てが必要です。
その際、申立書とともに提出する重要書類の1つが「診断書」です。
診断書は、本人の判断能力の状態を証明するもので、制度利用の可否を左右する大切な資料です。
今回は、成年後見人の申立てに必要な診断書の内容を見ていきます。
成年後見制度と診断書の位置づけ
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分なひとを法律的に支援する仕組みです。
家庭裁判所が後見人を選任するには、本人がどの程度判断能力を失っているのかを客観的に確認する必要があります。
判断の根拠となるのが、医師が作成する診断書です。
診断書は、本人の現在の精神状態や判断能力の程度を示すだけでなく、どの類型(後見・保佐・補助)に当たるかを裁判所が判断する材料にもなります。
診断書に記載される主な内容
診断書には、以下のような事項が記載されます。
本人の基本情報
診断書の冒頭には、本人を特定するための基本情報が記載されます。
- 氏名
- 性別(男・女)
- 生年月日(年齢)
- 住所
本人確認のための基本情報であり、申立書の記載内容と一致している必要があります。
医学的診断に関する情報
判断能力に影響する医学的所見がまとめられます。
- 診断名(例:アルツハイマー型認知症、脳梗塞後遺症など)
- 現病歴や現在の症状、重症度
- 既往症や合併症(判断能力に影響するもの)
判断能力低下の原因を明らかにする部分であり、家庭裁判所が障害や症状の性質を理解する基礎となります。
各種検査結果
長谷川式認知症スケールやMMSEなど、客観的な検査結果が記載されます。
回復の可能性
症状が短期間で改善する可能性について医師の見解が記載されます。
- 回復する可能性は高い
- 回復する可能性は低い
- わからない
後見開始の必要性や将来的な見直し判断に影響します。
判断能力の評価
本人が法律行為の意味を理解し判断できるかどうかの総合評価を行います。
- 自ら理解・判断できる
- 支援があれば理解・判断できる場合がある
- 支援があっても難しい場合がある
- 支援があっても理解・判断できない
後見・保佐・補助のどの類型に該当するかを決める重要な指標です。
判定の根拠
判断能力の評価に至った理由を、具体的な認知機能の項目ごとに記載します。
参考となる事項
診断結果を補足するための生活状況や、心身の状態に関する情報が含まれます。
医療機関・医師の情報
作成者である医療機関と医師の情報が記載されます。
- 診断日
- 病院や診療所の名称・所在地
- 担当診療科名
- 担当医師氏名(押印)
公的証明としての効力を持たせるために不可欠な項目です。
まとめ
成年後見人の申立てにおいて、診断書は本人の判断能力を示す重要な証拠です。
専用の書式を用い、医師に詳細な診断を依頼します。
費用や作成期間も考慮し、余裕を持って申立ての準備を進めてください。
診断書の内容や制度の利用に不安がある場合は、司法書士などの専門家に相談して適切なサポートを受けましょう。
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- 経歴
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平成10年 早稲田大学 法学部卒業
平成12年 司法書士試験合格、三鷹市の司法書士事務所に勤務
平成14年 司法書士登録
平成16年 簡裁代理関係業務認定
平成22年 いつき司法書士事務所開業
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