遺言書で相続人を廃除するための要件をわかりやすく解説

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遺言書で相続人を廃除するための要件をわかりやすく解説

「特定の相続人には財産を渡さないようにしたい」と考える方も少なくありません。このとき、遺留分を持つ相続人については遺言書にその意向を書くだけでは足りず、廃除という手続きを踏む必要があります。

ただし要件は厳しく、遺言書の書き方によっては手続きそのものが進まないこともありますので、そのため、押さえておきたい要件をここで確認していきましょう。

遺言による廃除はどのような制度なのか

「廃除」は、相続人としてふさわしくない行為があった場合に、被相続人の意思にもとづいてその相続権を失わせることをいいます。

 

方法は二つあり、①生前に被相続人自身が家庭裁判所へ請求する方法と、②遺言書で意思を示しておく方法があります。

 

遺言で廃除の意思が示されている場合、相続開始後に家庭裁判所へ請求します。認められれば、その効力は被相続人が亡くなった時にさかのぼって生じます。
つまり、遺言書に書いた時点で効果が確定するわけではなく、裁判所の判断を経てはじめて相続権が失われるのです。

廃除が認められるための要件

前提として、遺言による廃除が認められる相手と理由には、法律上の制限があります。誰に対しても、どんな理由でも、廃除ができるわけではありません。

対象にできる人の範囲

廃除できるのは「遺留分を持つ推定相続人」に限られます。

 

具体的には、配偶者・子(およびその代襲者)・直系尊属です。

 

兄弟姉妹は対象になりません。兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言書でほかの人に財産を渡す旨を書いておけば、それだけでその兄弟姉妹に財産を取得させないことができます。廃除という重い手続きを利用する必要がありません。

廃除理由として認められる行為

法が挙げているのは、被相続人に対する重大な侮辱や虐待、その他の著しい非行です。裁判例では、たとえば次のような事情が問題となっています。

 

  • 被相続人に対して継続的に暴力をふるっていた
  • 耐えがたい中傷や罵倒を長期間繰り返していた
  • 被相続人の財産を無断で処分し、または使い込んでいた
  • 重大な犯罪を繰り返し、被相続人が弁済や謝罪の対応を強いられ続けた など

 

判断の基準になるのは、「家族としての信頼関係が客観的に見て著しく壊れており、遺留分を失わせてもやむを得ないといえるかどうか」です。単に折り合いが悪い、疎遠になっているという程度では認められません。

遺言書作成時のポイント

実際に上記のような事情があるだけでなく、遺言書の書き方や作り方も重要です。特に遺言書を作成する際に押さえるべきポイントは三つあります。

 

一つ目は「遺言書そのものが有効であること」です。
自筆証書遺言であれば、原則として本文・日付・氏名を自書し、押印する必要があります(財産目録については自書を要しない場合があります)。方式に不備があれば遺言全体が無効となり、廃除について記載していても、その内容を実現できなくなります。

 

二つ目は「廃除の意思が明確に読み取れること」です。
誰を廃除するのかを、続柄と氏名、生年月日で特定し、その理由となる事実もできるだけ具体的に記載しておくことが重要です。いつどのような行為があったのかを記しておくと、後の審判でも有力な手がかりになるでしょう。

 

三つ目が「遺言執行者を指定しておくこと」です。
家庭裁判所へ請求できるのは遺言執行者であるため、指定がないと手続きの入口で停滞してしまいます。指定がなかったり就任を辞退されたりすると、利害関係人が裁判所に選任を申し立てることになりますが、その分、手続きに時間を要することがあります。

 

また遺言執行者については、廃除される側と利害が対立し得る方を指定すると進行が滞りやすいため、専門家を指定しておく方法もよく採られます。

相続が始まってからの流れ

遺言による廃除は、相続開始後にいくつかの段階を経て成立します。基本的な流れとしては次のように説明できます。

 

  1. 遺言書の確認 ※自筆証書遺言の場合は、原則として家庭裁判所の検認を受ける(法務局の遺言書保管制度を利用している場合を除く)
  2. 遺言執行者の就任 ※指定がなければ家庭裁判所へ選任を申し立てる
  3. 家庭裁判所への請求
  4. 審判 ※事情を調査の上、判断される
  5. 審判の確定

 

審判までの財産管理に心配があるときは、家庭裁判所に遺産の管理について必要な処分を求めることもできます。

思ったとおりの結果にならない場合もある

廃除が認められると、その相続人は相続権とあわせて遺留分も失います。ただ、そこで話が終わるとは限りません。

たとえば廃除された人に子がいれば、その子が代襲して相続人になります。特定の家系に財産を渡したくないという意図であれば、廃除だけで目的を果たすのが難しくなるでしょう。

 

また、家庭裁判所が認めない可能性もあります。被相続人が亡くなった後の審判では、本人から事情を聞くことができません。そこで診断書や被害届の写し、日々の出来事を記録したメモ、第三者の証言など、裏づけとなる資料を生前から残しておくことが大切です。

認められなかった場合に備えて、遺留分を前提とした財産の配分も考えておくとよいでしょう。

 

相続人の廃除を考えるまでには、それぞれのご家族に長い経緯や簡単には言葉にできない事情があると思います。法律上の手続きをどう進めるべきか一人で抱え込まず、まずはそこに至ったお気持ちやこれまでの経緯も含めて、お気軽にご相談ください。

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